人に対して無防備になってしまう脱抑制型愛着障害って何なの?

愛着障害の中には脱抑制型愛着障害と呼ばれるものがあります。無防備で相手との距離が測れない行為をする…いったいどういう状態なのか。私の体験を交えてお伝えしていきます。


こんにちは、心理カウンセラーの松です。

人の気持ちのイライラや気の沈みの原因は何なのか、探るお手伝いをしています。

最近よく聞く愛着障害、これはとても特徴のある障害です。

この症状に悩まされる人たちは、全く真逆の行動を取る場合があるのです。

まず、他人に対して、非常に警戒的、甘えたいのに素直に甘えることが出来ない、優しく接してくれる人に対して腹を立てたり嫌がって泣いたりと全く矛盾した態度を見せる行為、これを「抑制型愛着障害」と呼んでいます。

反対に、初対面の人にもなれなれしく接近する、見知らぬ他人にベタベタと親しみを示してしまい、無防備で相手との距離が測れない行為をする人、これを「脱抑制型愛着障害」と呼んでいます。

今回は脱抑制型愛着障害と診断された奈美さん24歳(仮名)を例にあげて紹介していきましょう。

〇思いがけない行動を取った彼女

「警察ですが」

向こう側から男性の固い声が伝わってきました。虐待は24時間いつでも起こります。

警察からも電話をもらうことがあります。

私の名前を先に確認してから名乗るあたり、私は薄々警察だと分かっていましたが、深夜の電話は誰であっても迷惑には違いありません。

「杉崎奈美という女性をご存知ですか」

「杉崎さん…。はい、知っています」

「どういったご関係ですか?」

「先日、子育ての悩みで相談を受けました。児童相談所に子供の養育相談に来た時に心理相談で面会しました。」

私はすぐに奈美さんを思い出しました。

初対面でいきなり「そのバッグ可愛いですね〜。」と私が持っていたポシェットを掴んで中身を出そうとしたからです。

私は普段は子供の心理を担当しているので、可愛いピエロのポシェットを持ち歩いています。

中身はキャンディや小さなおもちゃを入れています。

クライアントに会わせてそのポシェットからちょっとしたプレゼントをするのですが、初対面の大人の女性から、いきなりポシェットを掴まれ、開封されたのは初めてです。

その記憶が強く残っていたので、すぐに名前を思い出せたのでした。

「実は今、彼女が乗っていた自転車を照会した所、あなたの物であると確認しました。盗難届けを出されていましたね?」

そうです。先日私は自転車を盗られてしまい、盗難届を出していました。

まさか犯人が彼女だったとはびっくりです。

「彼女はあなたから借りたと言っていますが」

「いや、貸した覚えはありませんが…。ただ、彼女が赤ちゃんを抱っこして来所したので、大変なときは相談して下さい、と言って別れました。その時に自転車を乗っていかれたんだと思います。」

夜泣きがひどくて赤ちゃんを預かって欲しい、というのが彼女の来所理由でした。たまたま私が手が空いていたので相談に乗り、その後ケースワーカーに繋いだので赤ちゃんはどうなったのか分かりません。

「赤ちゃんはどうしてますか?」

「いや、彼女は一人です。酩酊しながら自転車に乗っている所を職質したので。」

「家に赤ちゃんが置き去りにされている可能性があります。自転車は結構ですので、すぐに自宅に帰る様に伝えてもらえますか?」

「…分かりました。ご協力、有り難うございます。」

私はすぐに彼女を担当したケースワーカーに赤ちゃんの所在を確認しました。

自宅におらず、確認した所新宿にあるベビーホテルに預けている事が分かり、ひとまず安心です。

〇子供の時の出来事が大人になっても影響してくる

「いやあ彼女は典型的な愛着障害だと思うよ。」

ケースワーカーは50代の温厚な男性です。

「あれから1度面会しただけなのに、あの後毎日電話されてね、赤ちゃんを一時保護しようと申し出たけど、なぜか承諾しないんだよ。でも毎日電話してくる。話を聞いて貰う口実にしているんだと思う。」

愛着障害とは、生まれてまもない頃に親の愛情をたっぷり注がれなかったために起こる障害です。

大人になってからその障害が様々な行動の基礎に働き、上手く人間関係を築けない場合が多いのです。

理不尽に相手に怒りをぶつけたり、知らない相手にも馴れ馴れしい態度を取る場合は愛着障害の中でも脱抑制型愛着障害に分類されます。

「しばらく通って貰いましょうよ。子供とのコミュニケーションもあまりうまく行っていないようだし。」

私は彼女の赤ちゃんの無表情な瞳を思い出しました。

彼女が面談している間、まったく母親を目で追うこともなく、笑いかけても反応しません。

これは愛着障害でも抑制型愛着障害児によく見られる症状なのです。

「虐待は連鎖する」とよく言われますが、愛情や教育も全く同じです。

人は自分がされた事を子供に行います。

虐待されたら虐待を、愛情を注がれたら愛情を子供に与えるのです。

奈美さんの場合、子供の頃にネグレクトされた可能性があります。もっとカウンセリングが必要でした。

脱抑制型愛着障害の場合は、他人との距離の取り方が分からない、というのが一番大きな問題かもしれません。

馴れ馴れしく付き合いながらも他人の気持ちに全く協調できないため、他人の迷惑や不快感に気が付かない場合が多いのです。

子供の頃は、自分と他人の持ち物の区別もつきにくかったでしょう。

私の自転車を勝手に乗って行ってしまったのも、悪気があったのではないかもしれません。

もちろん、職場の敷地内だからと鍵をかけなかった私が一番悪いのです。

「長くかかりそうですね。」

私はケースワーカーと話しながら、スケジュールの調整をはじめました。

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いかがですか。これは脱抑制型愛着障害のほんの1例です。

全ての方が自転車泥棒をするわけではありません。

あくまでも、他者の持ち物という意識が薄い、という例に取り上げただけですので誤解しないで下さいね。

ただ、他人との距離が掴みにくい、初対面の人に馴れ馴れしい態度を取るといった症状はよく見られます。

他人はびっくりして引いているのに気づかない場合が多く、トラブルの元になる事もあるでしょう。

女性の場合は恋愛問題で悩むかも知れません。

なんだか当てはまる、という方、是非一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

心の問題というのは自分だけでは気付かないこともあったりします。

そうするのが当然だ、その当然の分部が人と大きく違っていると予想しない行動に出てしまうことがあります。

度合いによっては専門家への相談が必要になる場合もありますし、

心の学びを経て自分で良い方向へ向かわせることもできることがあります。

脱抑制型愛着障害についての話はいかがでしたか。自分の心の状態を良くするヒントを知りたい方はこちら

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