愛着障害とはどんな症状?

愛着障害ってご存知ですか?これは人の心の奥深くに潜むとても根深い物なんです。なぜ根深いかと言うと本人が全く無自覚に起こす症状だからなんですね。今回は私が出会った5歳の子の例と共に愛着障害の症状をお伝えしていきます。


こんにちは、心理カウンセラーの松です。

私は子供の心の悩み、チャイルドケアが専門です。

毎日子供の不調や悩みについて相談に乗っています。

最近よく目にする様になった“愛着障害”という言葉。みなさんも聞いた事があるのでは?

これは人の心の奥深くに潜む、大変根深い病理です。なぜ根深いかというと、これは本人が全く無自覚に起こす症状だからなのです。

大人になってから悩まされる鬱病、アダルトチルドレン、ADHD、私はこれらの病気の根本には、この“愛着障害”も関わっているのではないか、と思っています。

もしかして、皆さんも自覚がないだけで、この愛着障害に悩まされているかも知れません。

数年前に相談を受けた勉君(仮名/5歳)の例を参考にしてみましょう。

気持ちよい5月晴れのある日、オフィスの電話が鳴りました。

「先生、またあの子なんですが…。」

電話の主は最近頻繁に電話をかけてくる保育士の太田さん(仮名/54歳)。

仕事熱心な彼女は、職場であるA保育園に勤務して12年のベテラン保育士です。

「ああ、勉君ね、何かありましたか?」

彼女が電話であの子、という勉君は5歳になる男の子です。

A保育園に入園してまだ2ヶ月ですが、毎日何かしらのトラブルを起こしているのです。

勉君の生い立ち

実は勉君は近くの養護施設から通っている子供で、彼が家の外の物置に閉じ込められている所を近所の人が通報し、警察を経て施設に入所した子供でした。

勉君の父親は不明、母親は鬱病で生活保護を貰って生活していました。

しかし母親は勉君をたびたび物置に閉じ込めて家に入れないという事で、1日中子供の泣き声がするとたびたび通報されていました。

児童相談所でも勉君の母親と何度か面会し、勉君とも会っていましたが、勉君を物置に閉じ込めるものの、殴る、蹴るといった虐待は見られなかったため、要保護児童の対象にはならなかったのです。

今回勉君が施設入所になった原因は、母親の自殺未遂でした。

近所のマンションの屋上から飛び降りた彼女は、病院に運ばれた時に身元を照会する物を何も持っておらず、勉君はまるまる2日間物置で泣き叫んでいたために近所が通報、ようやく児童相談所に保護されたのでした。

奇行を繰り返す勉君

一時保護の期間がすぎ、養護施設で暮らし事になった勉君は、最初は寡黙な子供でしたが、保育園に入ってから奇行を繰り返すようになりました。

自分の持ち物と他人の持ち物の区別がつかない、水道の栓を何度言っても出しっ放しにする、トイレを嫌がってどこでも排泄してしまうなど、5歳なのにまるで1〜2歳の幼児の様な行動を取る事が多かったのです。

他の保育士さんは勉君の生育歴を考慮して勉君がよその子供の靴を履いて園庭に飛び出そうが、絵本を勝手に持ち出して砂場に埋めようが黙認状態でした。

集団行動がとれない勉君にかまっていると他の子供の世話が出来ないからでしょう。

ほぼ勉君はベテランの太田さんに一任される状態で過ごしていました。

自分の子供を3人、しかも全員男の子を大学まで育て上げた太田さんは、勉君の奇行に手を焼きながらも勉君に熱心に愛情を注いでいたのでした。

そんな彼女から頻繁に電話がかかってくるようになったのは、ここ最近です。

勉君の対応に手を焼いているのは分かりますが、彼女の悩みはどうやらそれだけではないようでした。

私は一度保育園に勉君の様子を見に行く事を約束し、電話を切ったのです。

愛着障害の症状

私が様子を見に行った時、勉君は丁度昼休みで太田さんと積み木で遊んでいました。

太田さんはいつまでも他人と自分の物の区別がつかない勉君のために、自分で作った積み木を勉君だけのために用意していたのです。

つとむ、とマジックで書かれたフェルトの積み木を、二人で組み立てているのを、私は離れた場所から観察していました。

ふいに勉君が積み木を中断し、いきなり園庭に走り出ました。

そこには若い女性の保育士の女性がブランコで遊ぶ子供の見守りをしていました。

勉君はいきなりその保育士さんの手をひっぱって、その身体によじ上ったのです。

いきなり勉君によじ上られた保育士さんは、「勉君、やめて〜、重いよ。」と言っていましたが、そのまま勉君を肩車すると、「がおー!勉怪獣だぞ〜!」といってのしのし歩き始めました。

勉君も周りの子供たちも大喜び、しばらく園庭は大騒ぎでした。

その保育士さんはまだ園で働き始めたばかりの新米保育士さんでしたが、子供と遊ぶのが好きな、おおらかなオーラが漂っていました。

「ねえ、先生、変でしょう、勉君は。いきなり飛び出して行くし、誰にでもしがみついていくんですよ。やっぱりADHDじゃないかしら。」

太田さんは私のそばに来て言いました。

自分よりも他の保育士にしがみつく勉君が気に入らない様子です。

「ねえ、太田さん」

私は太田さんと向き合っていいました。

「勉君はねえ、典型的な愛着障害だと思いますよ。」

「愛着障害?」

「愛着障害って言うのは、生まれて半年後から3歳くらいまでに、たっぷりと愛情を注がれなかった子供に多い障害なんですよ。泣いてもわめいても自分の気持ちを受け止めてもらえなかった子供は、次第に誰に対しても愛情を感じられない、それなのにひどく愛情を求める子供に育ってしまうの。あなたは尽きっきりで勉君に愛情を注いでいるのに、勉君はあなたと他の保育士さんの区別がつかないのよ。まだね。」

いつのまにか勉君は抱きついていた保育士さんのそばを離れ、園庭の隅でひとりでぐるぐる回っていました。

遊んでくれた保育士さんの呼びかけにも答えません。

「愛情を受け止めるお皿を持っていないっていうのかな。まだ自分の安全基地が分からないのよね。」

私はぐるぐるまわる勉君をみながら続けました。

「でも大丈夫。」

私は太田さんに言いました。

「愛着障害はね、時間がかかるけど、必ず改善されますよ。親じゃなくてもいいの、1人の大人が、たっぷり愛情を注いであげれば、あっという間に普通の子供に戻ります。早ければ早い程効果がありますから、あなたとの出会いは勉君にとって幸運でしたね。」

そう言うと太田さんは嬉しそうに微笑みました。

勉君に本当に愛情をかけているのが分かります。

「今、勉君は、あなたを試しているんですよ。自分がどんな事をしても怒らないか、見放さないか、無意識に観察しています。わざとあなたが嫌がる事を沢山するはずです。でもね、ここが大事なんですよ。」

私は太田さんに言いました。

「愛着障害の子供は、虐待を誘発する行動を取ります。でもね、そこをぐっと我慢して、その子の気持ちを受け止めてあげて下さい。勉君の安全基地になってあげて。そうすれば、絶対愛着障害は治って、普通の、可愛い子供になりますから。」

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いかがですか。愛着障害の症状がどんなものか分かっていただけたでしょうか?

ある意味、勉君は大変幸運でした。

愛着障害は子供のうちにケアする事が最も重要なのです。

この障害に気が付かなかったり、発達障害と勘違いされてそのまま大人になると、自分に自信が無い、対人関係がうまく作れないという“生きにくい性格”に悩まされる場合が多くなります。

愛着障害は、日本でも最近ようやく注目されはじめましたが、かなりこの障害で悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

私が保育園で勉君に会ってからしばらく立ちましたが、あれから太田さんから電話は来ていません。

愛着障害はその子供を支える大人の愛情が全てです。時間はかかりますが、ゆっくりと、かならず回復していきます。

もしもあなたのお子さんにそのような症状が見えたとしても落ち込まないでください。

子供とどう接していいか分からなくなってしまった時は我々や専門機関にご相談いただきたいと思います。

悩みすぎて心がまいってしまう前に自分と今の現実に向かい合うための心作りというのをしてみるのもいいですよ。

心の学びは決して無駄にはなりませんよ。

愛着障害とはどんな症状なのか分かりましたでしょうか?問題と向き合える心を作っていくヒントを知りたい方はこちら

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