強迫性障害における加害恐怖を手放す方法とは?

強迫性障害の代表格として加害恐怖というものがあります。本人は事実ではない、実際に起きていないことを異常に心配してしまうんです。それをどう克服していけばいいのかお伝えします。


こんにちは。心理カウンセラーの深海です。
MakeYouSmileマガジン!に投稿させていただきます。

強迫性障害において、「加害恐怖」は、その症状の代表格です。

強迫性障害の症状にはいくつかのパターンがありますが、この「誰かを傷つけてしまうのではないか?」という加害恐怖もそのひとつ。

〇やってないのにやった気がする

例えば、道を普通に歩いているだけなのに、向こうから誰かがやってくると、すれ違いざまに自分が、その人のことを傷つける行動をしてしまうのではないか? と想像します。

実際にはもちろん、一切そのようなことはありません。

一瞬、想像した、傷つけてしまうのではないかという恐怖から、むしろ相手から不自然なまでに離れた場所を歩くことも。

ですから、現実的には相手を傷つけたということは絶対に、ないのです。

しかし、強迫性障害があると、「傷つけたはずはない」という認識とは別に、「それは自分で気付いていないだけではないのか?」「本当は傷つけたのではないか? 危害を加えたのではないか?」「今気付いていないだけで、後でニュースになるのではないか?」という不安が顔をもたげます。

後ろを振り向いて、傷つけた事実がないことを確認しますが、不安は消えません。

何事もなかったように見えれば見えるほど、自分の知らないところで何かがあったような気がしてしまう。

そして、自分で後戻りして再確認したり、時には家族に電話をかけて、自分が誰かを傷つけたことがニュースになっていないか、確認を取らせたりすることもあります。

同じような加害恐怖は、車の運転の場合も生じます。

つまり、運転をしていて、誰かを引いてしまわなかったか、心配になるのです。

こうして確認を繰り返すため、外出がままならなくなってしまいます。

徒歩や車の場合だけではなく、加害恐怖は、「会社に損害を与える」「インターネットに殺人予告をする」など、とうてい自分がやらないようなことで、自分が加害者になったような想像をしてしまうんですね。

そして、「自分はそれをしていない」という確認に時間を取られ、日常生活が送れなくなるのです。

ここでは「想像」と書きましたが、強迫性障害における想像は、厳密に言えば想像とも違うのです。

思い込み……とも違います。

強迫性障害になった本人は、その想像について、「本当は人を傷つけたはずはない」「触ってもいないのに傷つけたなんて、バカバカしい考えだ」と、一部正しい認識をしています。

しかし、「傷つけたのではないか」と思わずにはいられないのです。

〇専門家と相談しましょう

加害恐怖を手放すためには、そのための正しいプログラムに則って、治療を行わなくてはなりません。

強迫性障害には、「曝露反応妨害法」という治療方法があります。

これは認知行動療法の一種で、心理カウンセラーなど、心の専門家によって行われます。

曝露反応妨害法は、もちろん加害恐怖にも有効です。

しかも、再発性が低いとして、昨今では強迫性障害の代表的な治療法となりつつあります。

曝露反応妨害法を行うとき、加害恐怖の場合には、クライアントさんが、「こういうときに、人を傷つけてしまうのではないか?」という状況を意図的に作り出します。

たとえば、歩いているときに、他の歩行者を傷つけるのではないかということが心配なクライアントさんには、あえて歩道を歩いていただきます。

強迫性障害になりますと、「歩けば、誰かを傷つけてしまうのではないか」という恐怖がありますので、歩くこと自体を避けようと、外出しなくなる傾向が見られます。

車の場合も同様です。

車ででかければ誰か轢いてしまうかもしれないので、車の運転ができなくなる。

そこで、曝露反応妨害法では、あえて歩く、あえて車の運転をする、といった、これまで「避けてきたこと」を行います。

歩道を歩いたり、車を運転したりしても、当然ながら、想像したような悪いこと……人を傷つけたり、車で人を轢いたり……は起こりません。

そこで、「歩いても大丈夫だった」「運転しても大丈夫だった」というような経験を積み重ね、徐々に歩くこと、運転することなどへの恐怖感や、不安感を抑制していくのです。

この曝露反応妨害法によって、加害恐怖を手放すことはできますが、一見して簡単に見えるこの方法を、強迫性障害を抱えていらっしゃるご本人が、自分の意志だけで勝手に行うのは少々危険です。

ご本人にとって苦しいことを積極的にやろうというわけですので、場合によってはその精神的な苦痛から、「もう次は歩かない」「次は運転はもうしない」と、却って症状を悪化させたり、ご本人が余計に心を閉ざすようになる可能性もあります。

自分だけの判断で、安易に実行しないように、くれぐれも気をつけてくださいね。

曝露反応妨害法は、ご自分が本当に完全に不安を感じなくなるまで、継続して行うことが必要な治療法なのです。

強迫性障害は、そのほかの心の問題と同じように、そのときどき、症状の善し悪しがあるものです。

加害恐怖についても、大丈夫に思われるときと、不安で不安で仕方ないときとがあり、これを繰り返しながら、徐々に症状の軽減を目指す治療が行われます。

回復に向けて、加害恐怖を完全に手放せる日に向けて、努力をするのはもちろんですが、決して焦らず、頑張りすぎないように、こまめに充電しながら、治療を継続していきましょうね。

強迫性障害における加害恐怖というものについての話はいかがでしたか。不安を解消するためのヒントがつまった話を聞きたい方はこちら

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