ネグレクトを起こしてしまう心の中にある原因とは?

虐待事件のニュースなどを見たり聞いたりすることが多いですよね。なぜ虐待は減らないのでしょうか。今回はネグレクトを起こしてしまう原因とはいったいなんなのか、ということについてお話をさせていただきます。


こんにちは。心理カウンセラーの松です。
MakeYouSmileマガジン!に投稿させていただきます。

今回は子供と親の悩みについて、専門家の立場からお話させて頂きます。

最近多い子供への虐待事件、新聞やテレビで毎日のように取り上げられていますよね。

2014年度の虐待通報はおよそ7万3千件。

この数字は過去最高の数字を更新しています。

メディアで取り挙げられ、様々な対応策があるにもかかわらず、なぜ虐待、ネグレクトは減らないのでしょうか?

ネグレクトを起こしてしまう心の中にある原因とは一体何があるのか、ある事例を元にご紹介しましょう。

○育てにくい子供

「もうこの子を育てるのに疲れました。殺してしまうかもしれません。」

5歳の男の子を育てている陽子さん(仮名)41歳は、私の目を見ながらきっぱりと言い切りました。

ある財団法人で働く彼女は、国立大学を卒業した優秀なキャリアウーマン。

人工授精までして出産した男児雄馬君(仮名)が生まれた時は、1年間の育児休暇を使って大切に大切に育てたといいます。

海外留学経験の長い彼女は、雄馬君に対して乳児の時から徹底して欧米流の子育てを貫きました。

抱き癖がつかない様に泣いても抱っこしない、夜は泣きわめいても個室に1人で寝かせるなど、育児書に書いてある事に疑問を持たずに育てたそうです。

それはそれで問題はないかもしれませんが、雄馬君は夜泣きがひどく、寝付くのが遅い子供でした。

歩き回れる様になると、深夜の1時2時でも家中を走り回り、ドアノブをがちゃがちゃと鳴らしたり、ベランダで奇声をあげ、何度怒っても止めなかったといいます。

母親に連れられて診察室に入って来たとき、雄馬君は母親の手を無理矢理振り払い、部屋の電気のスイッチをいきなりバチンと消し、診察室の隅に並べられたぬいぐるみのおもちゃに突進しました。

そして自分と同じくらいの大きさのテディベアを抱えると、また電気のスイッチの所に駆け寄り、バチバチと付けたり消したりするのです。

彼の子供らしいニコニコした表情と裏腹に、母親の陽子さんは手のひらをぐっと握りしめ、はっきりと分かる憎悪の視線を自分の息子に向けたのでした。

○増加するADHD(注意欠陥・多動性障害)

母親からの聞き取りと雄馬君を1ヶ月一時保護所で預かって観察した結果、雄馬君はADHD(注意欠陥・多動性障害)だと分かりました。

落ち着きが無い、夜なかなか眠らないなど、母親の神経をすり減らす行為を繰り返したのは彼女の育児のせいでも彼の性格でもなく、障害だったのです。

ADHDの子供は生まれてすぐには分かりません。

保育園では「ちょっと元気な子」位の目で見られますが、小学校に上がると落ち着きが無い、机にじっと座っていられないなどの問題行動から発覚する事がよくあるのです。

歩き始める1歳後半から6歳くらいまで、とにかく動き回り、じっとしていない我が子を障害と思わずに育てる母親の苦労は相当なものがあるでしょう。

一体なぜこの様なADHDになってしまうのでしょうか?

ADHDは一卵性双生児ではきわめて高い頻度で現れ、血縁者にも共通してみられることから遺伝的要素が強いと考えられていますが、未だその原因は解明されていません。

なかなか幼児の間では見分けがつきにくいADHDですが、この障害を持つお子さんは年々増加しています。

そして何よりも恐ろしいのは、この障害を持つ子供は育てるのが難しく、しばしば親の虐待、ネグレクトを誘発する要因となってしまうのです。

●その他の原因

○虐待の連鎖

もちろん虐待される子供の全てがADHDだという訳ではありません。

よく聞く言葉ですが、「虐待の連鎖」も大きなネグレクトの原因の一つです。

自分が親にネグレクトされて育った子供は、それを知らず知らずに自分の子供にしてしまう事が多いのです。

子供は生まれた瞬間から学び始めます。

泣き続ければ温かいミルクが貰え、笑いかけると喜んで抱き上げてもらえる、振り向くといつも自分の名前を呼んでくれる人が身近にいる…。

そんな行為を繰り返して親の愛情を記憶し、自分の行動に反復します。

反対に泣いたり、我がままを言うと親にたたかれたり虐待された子供は、それが子供の育児だと認識してしまいます。

自分がされて悲しかった経験も忘れ、自分の子供にそっくり同じ事をしてしまうのです。

○愛着障害

親がいつもスマホばかり見て子供の顔をろくに見ないで食事を与え、話しかけても無視され続けた子供は表情が乏しく、自分の喜怒哀楽の表現がうまくできません。

自分に興味を持たれずに育てられた子供は、他者からの愛情を受け止めたり、思いやりのある行動が取れなくなります。

ひどい場合は「愛着障害」となって非常に育てにくい、大人になっても問題行動の多い人間に育っていきます。

親や特定の大人に一定期間、たっぷりと愛情を注がれて育たなかった子供は、この「愛着障害」になりやすいと言われています。

養護施設などで育った子供は特にこの傾向が多く、大人になってからもうまく人間関係を構築できず、社会に適応しにくくなります。

都会でよく見かけるホームレスの方たちは、養護施設出身者が多いといいます。ホームレスになってしまう要因は、あながち彼らだけの問題ではありません。

愛着障害は親からの犯罪といっても良い行為です。大人から受けたネグレクトは、子供の人生を左右する重大な心の傷となって一生苦しめる結果になるのです。

いかがですか。ネグレクトを起こしてしまう要因は、親だけの問題とはいえません。

育児を母親に任せっぱなしにする社会背景、育てにくい障害を持つ子供の増加など、その原因は複雑に絡み合っています。

SNSが進んだ現代では、他人に干渉しない、個人主義のライフスタイルが主流です。しかしその陰では、人に言えず、頼れない悩みで苦しんでいる人もいるはずです。

あなたの隣の家から子供の泣き叫ぶ声が頻繁に聞こえたら、あなたはどうしますか?

通報はもちろん大切ですが、ほんの少し、声をかけてあげるだけでもいいのです。

勇気を出して、「大丈夫ですか?」と聞いて上げて下さい。

もしかしたら、あなたのささやかな思いやりの行動が、その子と親の人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

ネグレクトを起こしてしまう原因についていかがでしたか。人生を豊かにするためのヒントがつまった話を聞きたい方はこちら

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