ネグレクトが与える子供への影響とは?

ネグレクトが子供に与える影響というものは決して軽視することのできるものではありません。その影響を知ることによって、子供たちを守ることもできます。今回は私のクライアントの話を通して解説していきます


こんにちは。心理カウンセラーの松です。
MakeYouSmileマガジン!に投稿させていただきます。

仕事柄、色んな子供と出会いますが、今回はネグレクトが与える子供への影響について、私が出会ったギャルママを母親に持つ金髪の小学2年生の男の子、「晴人くん」(仮名)を通して見ていき
たいと思います。

○洋服を食べてしまう男の子

晴人君と出会ったのは8月のじりじりと焼けるような暑い日でした。

小学2年生、公立小学校に通っているという晴人君は、それは見事な金髪の男の子でした。(日本人です)

お母さんはいわゆるギャルママ。

晴人君、そして2歳離れた妹の女の子まで、キラキラの金髪で圧倒されたのを覚えています。

「先生、この子変なの。ヤバいから」

ギャルママは下を向いて話始めました。

長い爪には綺麗なピンクと水色のジェルネイルが施されています。

「この子さあ、何でも食べるんだよ、ご飯じゃなくて、変な物…。特に洋服を食べちゃうの」

「洋服ねえ」

晴人君は鼻先まで伸びた金髪の前髪で顔を隠し、表情がまるで見えません。

スイッチの切れた人形の様にピクリとも動かず、母親の後ろに立っています。

私は晴人君と二人きりで話す事にしました。

ネグレクトされている子供は、親の前と親がいない所では態度が変わります。

ギャルママと妹が部屋から出て行くと、晴人君は部屋を見回して、本棚に並べてある子供用の漫画や本に視線を向けました。

「晴人君、本が読みたい?」

「うん、本読むの好き」

「そうなんだ、他にどんな事をするのが好き?」

「…折り紙」

小学2年生の男の子にしては、やや小太りの晴人君。

運動よりも部屋で遊ぶのが好きなようです。

でも折り紙、という言葉に、もしかして、という予感がうっすらと芽生えました。

「本を読んでもいいよ。でも、その前に手を洗ってくれる?」

さりげなく誘導して洗面所へ。腕をめくって傷がないか確かめます。

傷はありませんが、私が背後に立つとビクっと体を固くするのが分かりました。

緊張しているのではなく、本能的に怖がっているのが分かります。

虐待されている子によくみられる特徴のひとつに、背後に人が立つのを嫌がる、という事があげられます。

私は明るく鼻歌を歌いながら、さっとその場を離れました。

○ネグレクトの親の問題

私は晴人君に好きな本を選ばせて、お母さんの報告書に目を通しました。

晴人君のママはシングルマザー。

今は生活保護を受けています。

28歳ですが、自傷癖があり、うつ病と合わせて現在も治療中。

晴人君は遅刻欠席は多いものの普通に学校に通っています。

しかし授業中も休み時間も常に洋服の裾や袖口を噛み続け、教師が注意しても止めないとか。

そのため洋服は3日でボロボロになってしまうそうです。

その他ランドセル、教科書、テレビの配線コードといった物も口にいれてボロボロにしてしまうため、学校を通じてカウンセラーに要保護児童かどうか診察にまわされたのでした。

ネグレクトされている子供の特徴のひとつに、執着障害があります。

何かひとつのものに執着してそればかりを食べ続ける、やり続けるといった行動障害のひとつです。

本人は無意識に行っているため、それがおかしい事だと思っていません。

他人を傷つける訳ではないため、案外大人になるまで見落とされがちです。

しかし大人になってからストーカーになったりする人の多くは、子供の頃にこのような執着障害があったのではと推測されています。

そっと晴人君の様子を伺うと、熱心に本を読みながら、ゆらゆらと体を動かしています。

本のページを指先で小さく折り目をつけて、破れかけているのが分かりました。

○ネグレクトの問題点

ネグレクトされた子供は、それが虐待だと認識できないのが普通です。

なぜ親が呼びかけても返事をしてくれないのか、何もしないのにいきなり暴力を振るうのか、ご飯をたべさせてくれないのか理解する事ができません。

そのために親に問題があるにもかかわらず、まるで自分が悪い事をしたように自分を貶め、自己評価の低い人間になってしまうのです。

何を言っても自分の要求を叶えてもらえない、その状態が続くと子供は親以外のもの、別の物で要求を満たそうとします。

それが、食欲に走って過食したり、一つの物に執着してストーカーになったりするのです。

晴人君の場合、それが「洋服を食べる」という変わった行為に現れてしまったのでしょう。

この場合、まずは親も何かしら問題を抱えている場合が多いのです。子供よりも親を診察、治療するのが問題解決の一番の方法といえるでしょう。

○グループセラピー

私は児童相談所に連絡し、児童福祉士に相談して母子ともに受けられるグループセラピーを紹介してもらいました。

晴人君の場合、虐待されている可能性もあるため、二人で受けられるグループセラピーで様子を見ようと判断したのです。

グループセラピーの良い点は、他の母親の子供への接し方を見られる点にあります。

ネグレクトする親は、自分も満足に養育されていない場合が多いのです。

そのために子供への養育の仕方が分からず、人形の様に子供の髪の毛を金髪に染めてみたり、気が向いた時だけ食事を与えるという行動を取りがちになるのです。

自分の子供を虐待したい、と思う母親はめったにいません。

怖いのは、無意識にやってしまう事です。

虐待とは知らなかった、ネグレクトという言葉も知らない母親は沢山います。

それを本人が悪いと責めるができるでしょうか。

それは、社会全体の問題として、これからの子育ての大きな課題の様な気がします。

晴人君の母親は自分と同年代の女性の児童福祉士と話が合ったらしく、子育ての悩みや生活面での愚痴をこぼすようになりました。

自分の親が子供の頃に離婚して養護施設に預けられて育った事、離婚した後、イライラして時々物を子供に投げつけてしまったり、深夜遅くまで子供を置いて出かけてしまう事を打ち明けてくれました。

精神的に辛い時は里親に一時的に子供を預け、自分の病気と向き合う時間を作って貰い、晴人君の母親はかなり落ちついた様子です。

2年ぶりに、私はその女性の児童福祉士から、晴人君の母親が再婚する事になった、という話を聞きました。

いろいろあったようですが、晴人君も最近では落ち着いて、友達とサッカーをするのが好きになったそうです。

彼女からケータイに送られて来た晴人君の写真は、髪の毛が以前のキラキラした金髪ではなく、やや茶髪のかっこいいA君の笑顔がありました。

○ネグレクトの課題

いままで晴人くんを通してネグレクトが与える子供への影響を見てきましたが、ネグレクトの大きな課題として、周りの人間から見るとそれがネグレクトの影響だとわからないことがあげられます。

そしてそれは母親が心の問題を抱えてそれが子供に受け継がれるという負の連鎖を持っているという面もあります。

この状況から脱するためにはやはり、お子さんだけではなく、家族全体の心の問題として取り組む必要があるのではないでしょうか。

家族の問題は、社会全体の問題でもあります。

この記事を通して、ネグレクトの問題に少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。

ネグレクトが子供に与える影響についていかがでしたか。自分の心を癒すヒントがつまった話を聞きたい方はこちら

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